DOA(Data Oriented Approach:データ中心型アプローチ)は対象システムの「データの流れ」の把握に重点を置きながら,要件定義や設計を進めていくアプローチである。
★中心的な役割果たすDFD
IBM-DOAで中心的な役割を果たすDFDは,アプリケーションの要求を仕様としてまとめるのに向いており,データを中心に明確であいまいさの残りにくい仕様を作成できる。
●DFD(Data Flow Diagram)の表記法
要件定義では,DFD新論理モデルの中の「データストア」に含まれるデータ項目をリストアップした「データストア記述」,「データフロー」に含まれるデー タ項目をリストアップした「データフロー記述」,「プロセス」の内容をIPO(Input Process Output:入力-処理-出力)形式で記述した「処理機能記述」も作成する。DFD新論理モデルとこれら3つの仕様書を「DFD4点セット」と呼び,外部設計への重要なインプットとなる。
●DFD4点セット
1.複合/構造化設計を知る
複合/構造化設計では,アプリケーションを適切にモジュールに分割する。
(1)モジュール分割の良否を判定する尺度
① 「モジュール強度」
②「モジュール間結合度」
(2)基本的なモジュール分割技法
(1)「STS(源泉/変換/吸収)分割」
STS分割は最も代表的なもので,設計対象のデータフローを詳細に分析して入力処理,変換処理,出力処理のまとまりに分類したうえで,「入力から変換へ」,「変換から出力へ」と大きく変わる個所(これを「最大抽象点」と呼ぶ)でモジュールを分割する
(2)「トランザクション分割」
トランザクション分割は,データフローからトランザクションが分岐する個所を見つけてモジュールを分割する方法である
(3)「共通機能分割」
共通機能分割はプログラムの全体構造から共通機能を括り出して1つのモジュールとして切り出す方法だ。
2、外部設計フェーズの手順
外部設計の目的は,「要件定義書」に基づいて,新システムの「外部仕様」を作成することである。外部仕様とは「システムの外から見える機能やインタフェー ス」のことだ。具体的には,サブシステム構成や各サブシステムの機能仕様,画面や帳票といったユーザー・インタフェース仕様,サブシステム間や他システム とのインタフェース仕様,データベース仕様,移行仕様,運用・障害対策仕様,セキュリティに関する仕様などがある。
(1)サブシステムの定義
個々のサブシステムは異なるチーム,異なるスケジュールで開発されるため,独立して開発できるように分割すべきであり,サブシステム間は限定されたインタフェースでのみアクセスするようにすべきだ。この考え方は,複合/構造化設計と同じである。 これを実現するためには,システマチックな方法が必要となる。IBM-DOAでは,業務の大まかな括りとオンライン処理/バッチ処理などの区分を考慮しながら,高い抽象度のDFD新論理モデルの中でデータフローが最も簡素な(データの流れが最も少ない)境界で切断する。
サブシステムを分割した後は,各サブシステムに名称を付けたうえで,サブシステムごとの「処理機能記述」とサブシステム間のインタフェース仕様(データ項目,発生サイクル,トランザクション量など)を記述する。
(2)システム機能仕様の作成
サブシステム分割が済んだら,サブシステムごとに「システム機能仕様」を作成する。まず,要件定義で作成したDFD新論理モデルを基に,アーキテクチャな どの物理的な特性を加味した新物理モデルを作成する。具体的には,処理形態(オンライン/バッチ処理など)や処理サイクル(リアルタイム,日次,月次な ど)といった物理的な特性を考慮して,DFD新論理モデルの「データストア」,「データフロー」,「プロセス」を統廃合・分割・追加する。
(3)適用業務フローの作成
システム機能仕様の作成と並行して,「適用業務フロー」を作成する。適用業務フローは,利用部門の処理の流れを業務フローとして記述したものである。この作業は通常,利用部門が主体となって実施する。
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